高病原性鳥インフルエンザ(2)

1997年8月、まだ3歳男児の1例しか報告されていない段階であるが、人から人への感染があるか?無症候性感染があり得るかを調査したい。あなたならだれを対象にH5N1ウイルスに対する血清抗体価を測定するか?患児は入院する前まで保育園にあずけられていた。

  1. 1.患児と接触のあった、家族、近隣住人、同じ保育園に通う小児、その患者が入院した病院の医療スタッフ
  2. 2.比較対象として、香港在住の健康な小児と健康な成人
  3. 3.養鶏業者、養豚業者: 養鶏業者の方が養豚業者より高いのではないか?

以下実際にCDCが行った調査を示す。

最初の症例あるいは家禽類と接触があった人(家族、近隣住人、同じ保育園に通う小児、その患者が入院した病院の医療スタッフ、養鶏業者、養豚業者)502人の血清を調べた。比較対象として、香港在住の健康な小児218人と健康な成人201人の血清も入手し、H5N1ウイルスに対する血清抗体価を測定した。

502人の中でH5N1に対する中和抗体の上昇をみたものの割合は
 

患児あるいは家禽との接触あり

患児あるいは家禽との接触なし

養鶏業者

5/29(17%)

 

 

医療従事者

1/54(2%)

 

近隣住人

1/63(2%)

 

検査技師

1/73(1%)

 

保育園

1/261 (1%)

 

家族

0/4 (0%)

 

養豚業者

0/18

 

 

9/502

0/419

血清抗体価の上がっている人にインフルエンザ様疾患に罹患したかどうかもたずねているが、特に関係はなかった。

以上をどう分析するか?特に人から人の感染の可能性、あるいは無症候(不顕)性感染の可能性について検討せよ。

養豚業者、検査技師の陽性はウイルスの直接感染を示唆している。一方、医療従事者、保育園園児では人から人への感染を示唆している。もちろん、保育園で病気の鳥を飼育していたなど、保育園に感染源があるのであれば保育園児の抗体価上昇は人から人とは限らない。医療従事者は問診上、検査室でのウイルスへの接触、家禽との接触は無かったとのこと。近隣の年配者の患児との接触、家禽との接触ははっきりしない。しかしながら、最も接触が濃密であるはずの家族で誰も抗体価上昇が認められなかったことは、人から人に感染があったとしても効率的に感染する、所謂パンデミックになる可能性を示唆するほど感染力が強くないことが予想される。不顕性感染はある。感染例の何%かは不明。

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