ウエストナイル熱(2)

まだ調査は開始したばかりである。しかし、9月3日時点であなたは全国に向けて記者会見を行うことになった。どのようなことを話すか?

8月末からクイーンズでみられている脳炎は9月3日時点で8人を数えるに至っています。発熱、精神状態の変化、他の脳神経症状、首の項が痛くなる髄膜刺激症状、運動麻痺という症状を示し入院しました。発症年齢は57歳から87歳と高齢者に多く、80, 75, 87歳の3名の方が亡くなっています。29歳、49歳の入院もありましたが比較的軽症で、小児の報告はありません。まだウイルスは同定されていませんが、患者家族で発症者はおらず、患者の暮らす地域ではイエカが多いことから蚊に刺されることにより発症する可能性があります。今後患者発生地域の蚊の駆除を行いますが、個人レベルでも蚊にさされないように予防することが極めて重要です。特に夕暮れから夜にかけての外出、庭仕事などアウトドアの活動はお控えください。外出する際には長袖長ズボンで、虫除け対策をしっかりするようにしましょう。家の戸口や窓枠に殺虫剤を塗布するのも効果的かもしれません。蚊帳があればそれで寝るのもよいでしょう。庭に蚊の幼虫が成育しやすい水溜りなどがあれば、除去していただけるよう御協力願いします。

症状は発熱、注意力低下、混迷、頭痛などで、首が硬くなったり、筋力が低下したり、筋肉がぶるぶる震えたり、指先が震えやすいかもしれません。重症例では意識を失うだけでなく、麻痺、けいれんすることもあります。一方、感情的に不安定、集中しにくかったり、記憶が悪くなったり、無気力になったりといった精神症状が前面にでるだけで、病気と気付かないこともあるかもしれません。何か症状がありましたら主治医に相談してください。あるいはコールセンター(XXX-XXXX)まで連絡ください。24時間対応しています。

このアウトブレイクとは別にニューヨーク市で死んだカラスが多いことが判明した。9月7日~9日、ブロンクス動物園では、鵜、フラミンゴ2匹、キジが死亡。死体を解剖したところ、脳髄膜炎と重症の心筋炎を併発していたことが判明。9月10日、このカラスや動物園の鳥から採取された組織検体は、アイオワ州エイムズにある農水省国立獣医学研究所に送られた。鳥に脳炎を起こすウイルスは全て陰性だった。しかし、ウイルスは分離できていたので、これを9月20日、CDCに送ったのである。その結果ウエスト・ナイル・ウイルス(WNV)と判明。しかもWNVは死亡した脳炎患者の脳組織からも検出された。この時点で、ニューヨークで発生した人と鳥の脳炎が同じWNVの感染であることが判ったのだ。

9月28日には、調査結果がまとめられた(NEJM 2001; 344: 1807-14)。17人の確定例、20人の疑い例、4人の死亡がニューヨーク市と近隣で報告。誰もWNV脳炎が発生する国を旅行したものはない。

患者発生は8月5日から9月16日までであるが、ニューヨーク市では9月11日以降患者発生をみず一旦は終息した。患者中央値は71歳、重症例および死亡例は皆高齢者である。

蚊から分離されたWNVはイスラエルのものと酷似しており、中東からのウイルスを持った蚊が飛行機などに偶然乗ってしまい、ニューヨークに到達したのではないかと考えられている。

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