炭疽菌(5)

10月25日(木)までに国民への政府の説明が180度変わった。DOH長官のリッジはダッシュルの手紙に入っていた炭疽菌が非常に濃密で、毒性も強く、空中に散布されやすい性状であることを確認したからである。メディアに送られた炭疽菌より精巧に製粉されていた。この時点で、政府はやっとテロの認識を示したのだ。科学者は、このような武器として製造された炭疽菌が郵便をすり抜けることができるか検証を急いだ。
10月22日(月)、州の郵便仕分け担当だった従業員が病気になった。彼は10月25日(木)に入院し、吸入炭疽であることがすぐに判明した。ワシントン州は、10月11日以降大使館にあてた、あるいは外交上の手紙を全て回収した。10月23日(火)、ハミルトンの郵便局員56歳が吸入炭疽の疑いで入院した。10月24日(水)にはワシントン州で6人もの郵便局員が炭疽菌感染症疑いで入院している。ニューヨーク・ポストの郵便配達担当は皮膚炭疽疑いであった。NBC ニュースのデスクアシスタントも皮膚炭疽であると判明した。10月25日(木)、ブレントウッドと接点の無い、ワシントンDCの郵便局員が吸入炭疽とわかった。
10月25日(木)までに、32人が炭疽菌に暴露され、そのうち13人が炭疽菌感染症を発症している。7人は皮膚炭疽であり、6人は吸入炭疽であった。ニュー・ジャージの保健課長は全ての郵便局員はシプロキサンを10日ではなく60日間服用することを勧めた。この時点で炭疽菌と接触をもった可能性があるとしてシプロキサンを服用していたものは既に1万人を超えていた。
あなたは郵便サービスの常務である。このような状況で対策を考えよ。郵便サービスを停止することは国の経済にも大きな打撃を与えることは間違いない。郵便サービスを継続するとして考えよ。

1)従業員への情報開示と支援
2)市民への情報開示
3)炭疽菌汚染部位の同定と除染
4)郵便事業継続

FBIは郵便間で汚染を広げたのはダッシュルの手紙だけではないと考えていた。おそらく第二の炭疽菌を含む郵便物が議会に送られ隔離された郵便物の山の中に含まれていると推定したのである。11月5日(月)、FBIは10月12日から17日まで議会ビルで隔離されていた郵便物を動かしチェックした。これは極めて大変な仕事である。写真のように郵便物が230のドラム缶に入っている。炭疽菌を含む郵便物を安全かつ効率的にスクリーニングしなくてはならない。あなたならどうやってするか?

作業室の空気の流れ出口にエアサンプラーとヘパフィルターを設置する。

壁はビニール等で覆い、あとから建物をクリーニングしやすいようにする。作業にあたる人はレベルAに匹敵する重装備であたる。

空気中の粉塵を採取する装置があり、これでドラム缶から炭疽菌を含むかもしれない粉塵を収集し、スクリーニングする。1日で、インピンジャーで回収できるであろう。培養に2日あれば十分。実際FBIはこの作業を3日で終わらせた。

前のページに戻る