インフルエンザ・パンデミック(2)

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アメリカとメキシコの呼吸器疾患が同じ新型の豚インフルエンザによって引き起こされたものだとしたときに、アメリカの症例は軽症なのにメキシコでは死者が多くでている。しかも、アウトブレイクや重症例はアメリカとメキシコの国境付近に多いという。何故このような違いがあるのか?

〇まず、医療機関アクセスのしやすさの面から推論せよ。
〇タミフルを発症後48時間以内に投与すると重症化率、死亡率が低下すると仮定せよ。
〇肥満はこの新型インフルエンザをより重症化する危険因子であると仮定し、この点からも推論せよ。
〇呼吸器症状で罹患した人が全員この新型インフルエンザが原因でない可能性もある。この点からも推論せよ。

〇先進国、発展途上国の都市部では医療が発達しているため、具合が悪くなると、医療機関にすぐにかかれ、例えば熱発後48時間以内にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方されるかもしれない。一方、発展途上国の田舎部では受診が遅れ、重症化してから病院を受診して手遅れのパターンが多かったかもしれない。田舎部においては、逆に軽症から中等症は病院を受診せず自宅で自然治癒を待った可能性がある。すなわち、呼吸困難を来した重症例だけが病院にかかったとすれば、死亡率が高いのは当然のはなしである。だとすると、例えば「メキシコシティで120人の病人中13人、サン・ルイス・ポトシで14人中4人が死亡」となっていても、実際の死亡率はもっと低い可能性が高い。

〇アメリカよりもメキシコ、メキシコの中でも都市部より田舎部で肥満が多い傾向にあるとする。肥満の人がこの新型インフルエンザに罹患すると重症化しやすいとすれば、アメリカよりもメキシコ、メキシコの中でも都市部より田舎部で重症化率が高いことになる。

〇呼吸器症状で重症化あるいは死亡した人の中に従来の季節性インフルエンザあるいは喘息、その他の呼吸器疾患が含まれていた可能性がある。これもあとで判明することだが、喘息はインフルエンザ増悪因子の1つである。発展途上国では、喘息が増えている。また、メキシコシティの大気汚染はかなりひどいという話もある。新型インフルエンザはこれに追い討ちをかけた可能性もある。

このようなバックグラウンドの相違がアメリカとメキシコの死亡率の相違をつくりだしたのかもしれない。

2009年4月25日(土): 21日(水)にカナダに提出してあった51人検体中、16人で豚インフルエンザが陽性であった。メキシコ保健省コルドバ大臣は24日に「メキシコ全土で既にこの呼吸器疾患アウトブレイクに1004人が罹患し、20名が死亡しています。そこで、WHOに明日には緊急会議を招集して欲しいと伝えました」と国民に向けて話している。更に金曜には、保健省はウイルスの蔓延を防ぐためにメキシコシティの学校、博物館、図書館を全て閉じた。

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