原油安に襲われるGCC諸国経済

 GCC(湾岸協力会議)諸国はその度合いの違いこそあれ、いずれの国も石油輸出収入が国家歳入の多くを占めている。サウジアラビアやクウェートのように90%以上のところもある。今般の原油安は各国経済に大きな影響を及ぼしており、IMFは今年1月、GCC諸国の石油輸出収入は2015年に前年比3,000憶ドル減少すると予想した。2014年は6,432憶ドルであったため、石油収入は半減する。その結果、GCC諸国の財政収支は、2015年は軒並み赤字に陥る。例えば、サウジアラビアは2015年の財政収支の赤字は、予算上は380憶ドルとされているが、IMFによれば1,300憶ドルに達する可能性があるとされる。現会計年度が会計システムを変更する過渡期にあるカタルを除き、GCCの残り5カ国が財政収支の赤字に陥ると予想されている。

サウジアラビアは今年、2007年以来8年ぶりに国債を発行した。7月に40憶ドル、8月以降10月まで毎月53億ドルの国債を起債している。今年は合計270憶ドルの国債発行が予想されており、今後も累積する財政赤字への対応のため、国債発行が拡大することが既定路線となるだろう。同国は対GDP政府債務比率で世界最小といわれるが、IMFは負債比率が現在の2%以下から、2020年には33%に上昇する可能性があるとしている。

国債発行とともに、サウジアラビアはサウジ通貨庁(SAMA)が保有する対外資産の取り崩しにより、歳入不足を補っている。対外資産は2014年9月の7,460億ドルをピークに、急激な減少をみている。

一般的に湾岸諸国は、電気、水道、燃料油などに関して、膨大な補助金を支払っている。こうしたエネルギーに対する補助金のため、産業用、業務用、民生用ともにエネルギー価格は非常に低く抑制されている。その結果、エネルギー消費量は年々拡大しており、サウジなどは将来石油の純輸入国に転じるといった報告もなされている。

原油安が続く中で、GCC諸国の今後の財政の舵取りに注目が集まる。GCC諸国は在外資産が豊富なサウジアラビア、UAE、クウェート、カタルに対して、オマーンやバハレーンは政府準備金が少ない。現状レベルの原油安が続けば、貯蓄が大きいサウジでも、5年程度、オマーンやバハレーンはそれよりも早く準備金が底をつく。

 GCC諸国は2010年頃からの原油高の時代にオイルマネーを積み上げ、裕福な国々とみられてきたが、ここにきて原油安は財政に大きな影響を及ぼしており、財政のひっ迫が予想されるため、各国の経済政策に今後じゅうぶんな注意を払う必要がある。

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