エネルギー安全保障とイラン

 2015年7月14日にイランと米国を筆頭とする6カ国との間で核合意が成立したことで、イランのエネルギー産業の行方に注目が集まっている。2015年のBP統計の発表によれば、イランは原油埋蔵量が世界4位、天然ガス埋蔵量は世界1位の資源大国である。しかし過去10年あまりにわたり、核問題を理由とする対イラン制裁が強化されてきたことにより、その開発はスムーズに進んでいなかった。イランの石油・天然ガス産業に対する投資が、「イランによる大量破壊兵器開発を利する」として、米国の制裁により禁じられていたからである。

 核合意は順調にいけば、2016年の前半には解除される見通しである。そして制裁の解除に向けて、すでにメジャー各社を含む数多くの国際石油会社が、イランの石油・天然ガス部門への参入に関心を表明している。そしてイランも石油・天然ガス部門への外資の参入を奨励すべく、外資にとってより魅力的な契約形態を用意していることを明らかにしており、その契約形態は11月末にテヘランで開催される国際石油会議において、発表される予定となっている。

 日本は石油のほぼ全量を輸入に依存しており、石油の安定供給のためには供給源の多様化を図りつつ、自主開発原油を確保することが必須であると、これまで繰り返し指摘されてきた。日本はかつてイランでも、イラクとの国境沿いに位置するアザデガン油田の権益を獲得したものの、対イラン制裁の強化により開発の継続を断念した経緯がある。この権益はその後中国の石油会社に付与されたが、その開発はあまり順調に進んでおらず、イランの石油省からは、日本に戻ってきてほしいとの期待も表明されている。

 制裁の解除により一足飛びにイランにおける権益の取得までを目指さないにせよ、日本にとって重要な原油供給国であり続けてきたイランへの制裁が解除されることは朗報である。2012年以降はイラン産原油も制裁の対象となり、タンカーへの付保も原油代金送金のための金融取引も一様に困難になったことから、日本を含むあらゆる国が、輸入量の大幅削減を余儀なくされた。しかしそのような中でも、日本は総輸入量の約5%にあたる日量20万bbl程度のイラン産原油の輸入を続けており、制裁が解除されれば輸入量を徐々に増やしていくこともできよう。

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