北朝鮮の「水爆」実験 中国の対北朝鮮政策は変わらず

 1月6日、北朝鮮は「水爆」実験を実施したと発表した。本当に水素爆弾であったかについては懐疑的な見方が強いが、核実験の強行は地域情勢を悪化させ、北朝鮮に対する国際社会からの非難の声を引き起こしている。今回の核実験の目的として、5月に予定されている36年ぶりの朝鮮労働党大会を前に、金正恩が国内の権力基盤強化を狙ったのではないかと言われている。さらに、北朝鮮は2012年2月から途絶えたままになっているアメリカとの直接交渉を望んでおり、危機を作り出すことによってアメリカとの交渉に持ち込みたいという思惑があるが、アメリカは北朝鮮を核保有国としては認めない方針で、北朝鮮が核の放棄に向け誠実な態度を見せない限り、交渉に応じるつもりはないという態度を貫いている。

 北朝鮮が核開発を進めていることに対しては中国も不満を抱いており、特に中国とのパイプ役を担っていた張成沢が2013年末に突如として拘束・処刑されてから、中朝関係は冷え込んだ。中国は関係を立て直すべく、昨年10月に政治局常務委員の劉雲山を訪朝させるなど、最近は関係改善の動きも出始めていたが、そのような最中、北朝鮮は再び核実験を強行したのである。しかも、これまでは、北朝鮮は核実験やミサイル発射を行う際には前もって中国に知らせていたが、今回はその事前通告もなされなかった。中朝関係改善の動きが再び停滞するのは避けられない状況である。

北朝鮮が挑発的な行動をとるたび、中国は国際社会から北朝鮮に対する取り組みが不十分だと批判され、大国としての責任を果たすよう追求される。また、中国から見れば、日本が「北朝鮮の核を口実として」安全保障政策の整備を進め、日米同盟が強化されるのも歓迎できない。さらに、北朝鮮に対する厳しい制裁に中国が反対することにより、史上もっとも良好といわれる中韓関係に影が射すことも免れえない。韓国は、これまでアメリカが配備を求めてきた地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に対し、中国が反対しているということもあり曖昧な姿勢を示してきたが、その導入に傾く可能性が出てきた。

中国からエネルギーや経済面での支援を受けながら、まったくその要請を聞かない北朝鮮に対し、中国国内では、北朝鮮政策を見直すべきではないかという議論がこれまでにも起こったことがある。しかし結局のところ、北朝鮮を支える中国の戦略は変わらなかった。「責任ある大国」としてのイメージを示し、かつ、中国自身の不満を表すため、中国は北朝鮮に対するある程度の制裁強化には同意するだろうが、これまで同様、北朝鮮に非常に厳しい制裁を課すことには反対するだろう。北朝鮮の不安定化による中国への難民流入や、韓国に存在する米軍に対するバッファという、朝鮮半島における中国の利益に変化はないからである。

ただし、北朝鮮問題を米中関係改善に利用するため、中国が米中間で対話を持つことに積極的になる可能性は大いにある。東シナ海や南シナ海における中国の行動を巡り、米中の対立が顕在化しているが、中国はこれらの問題で妥協するつもりは全くない。他方、米中関係の改善と安定は重視しており、アメリカとの対話を増やしたいと考えている。たとえ朝鮮半島をめぐる米中間の利益対立の構図に決定的な変化は起こらなくとも、「協力が行われている」というポーズを示すことに、中国は価値を見出すだろう。

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